授業・履修情報

2016年度シラバス

大学経営政策各論(3)

開講学期:2016年度・S1S2

開講時限:土曜4限
 
担当教員
徳永保(筑波大学 大学執行役員(企画・評価担当)・大学研究センター長・教授)
松本麻人(文部科学省生涯学習政策局参事官付外国調査係)
福留東土(大学経営・政策コース准教授)
 
授業の目的と概要
(日本:徳永担当)
 「大学制度の発展及び大学教育の質保証スキームと大学法制」
1)大学法制の構成と概要、2)大学制度の発展を踏まえた大学法制の特質、3)大学法制の多くを占める大学教育の質保証に関する法制について近年の質保証概念・機能の発展を踏まえた関係法制の整備について講義する。
 授業を通じて、a.大学制度の発展とその特性、c.大学法制における国際的互換性の確保要請、d.大学制度のさらなる発展と社会的使命の拡大、e.大学教育の質保証に関連する法制の構成と概要、f.利害関係者に対する教育の提供と学修と学修成果の保証を基本とする大学教育の質保証スキームの発展、g.質保証スキームの発展に対応する大学法制の整備とその限界などについて知見を深める。
 
(アメリカ:福留担当)
 アメリカの大学の教育とガバナンス・経営の関係について、具体的な事例を教材として考察を行う。大学に関するケーススタディの試行的な授業となる。事前にケース教材を渡すので、必ず事前に読んだ上で授業に参加すること。授業では講義とグループディスカッションを行った後、全体での検討を行う。テーマとして、大学ガバナンスと意思決定(理事会、学長、教員組織の関係)、財務と経営(大学の掲げる使命を達成するための経営と財源確保・運用)、大学評価と大学自治(アクレディテーションの意義と課題)、学問の自由と大学教授職(学問の自由と終身在職権(テニュア)の決定・保証)を取り上げる。
 
(韓国:松本担当)
 本授業は、韓国における高等教育の歴史的展開や現在進行中の改革を考察することを通じて、同国の高等教育制度と政策の特徴を理解することを目的とする。
 授業では、まず近代韓国における高等教育の形成及び1945年以降の発展について概観する。次に、高い大学進学率を維持する現代韓国において、生涯学習社会の実現を目指す政府の高等教育制度と政策の諸相について講義する。そして、グローバル化や少子高齢化、地方経済の縮小など、大学を取り巻く環境が大きく変化する中、喫緊の課題となった高等教育改革に焦点を当てる。
 
授業テーマ・計画
(日本)
1.大学法制の構成と概要、大学制度の発展
2.大学の本質と大学の教育研究の特性、大学法制における国際互換性の要請
3.大学制度のさらなる発展-「商業化する大学」と「トリプル・ヘリックス」
4.教育条件整備の保証と大学教育の改善
5.大学及び関連システムを巡る国際競争と大学教育の質保証スキームの発展
6.大学教育の質保証における現行制度の限界と補完手段
 
(アメリカ)
1. 大学ガバナンスと意思決定:理事会、学長、教員組織の関係
2. 財務と経営:大学の使命を達成する経営と財源確保・運用
3. 大学評価と大学自治:アクレディテーションの意義と課題
4. 学問の自由と大学教授職:学問の自由と終身在職権の決定・保証
 
(韓国)
1.韓国高等教育の形成と発展
2.ユニバーサル段階の韓国高等教育政策
3.韓国高等教育改革の最前線
 
授業日程
第1回 4/9 日本①
第2回 4/16 日本②
第3回 4/23 アメリカ①
第4回 4/30 日本③
第5回 5/7 日本④
(5/14 五月祭のため休講)
第6回 5/21 日本⑤
第7回 5/28 日本⑥
第8回 6/4 アメリカ② …授業日程上は休講予定だが授業を実施する
第9回 6/11 アメリカ③
第10回 6/18 アメリカ④
(6/25 高等教育学会大会のため休講)
第11回 7/2 韓国①
第12回 7/9 韓国②
第13回 7/16 韓国③
期末試験 7/23
 
授業の方法
主に講義による。一部でグループディスカッションをはじめとする討論方式を取り入れる。詳細は開講時に指示する。
 
成績評価方法
(日本)試験(50%)と課題レポート(50%)
(アメリカ)レポート(80%)と授業参加(20%)
(韓国)試験(80%)とレポート(20%)
 
教科書
(日本)
C.H.ハスキンズ『大学の起源』(1970八坂書房)、中央教育審議会答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(2012.8)を読んでおくこと。
学校教育法及び同法施行規則の大学に関する規定、大学設置基準にざっと目を通しておくこと。
 
(アメリカ)
開講時に資料を配布する。事前講義を配信するので、授業中の指示に従うこと。
 
(韓国)
授業レジュメによる。
 
参考書
(日本)
デレク・ボック『商業化する大学』2004(玉川大学出版部)
中央教育審議会答申「学士課程の構築について」(2008.12)
 
(アメリカ)
補足資料を適宜配布する。
 
(韓国)
馬越徹『韓国近代大学の成立と展開 : 大学モデルの伝播研究』1995(名古屋大学出版会)
馬越徹『韓国大学改革のダイナミズム:ワールドクラス(WCU)への挑戦』2010(東信堂)
井手弘人他「隣国から未来を学ぶ-韓国高等教育の現在」『文部科学通信』262~277号、2011年2月28日~10月10日
 
履修上の注意
開講時に詳細を説明するので、それに従って受講すること。もし初回授業に出席できない場合は福留まで連絡のこと。