授業・履修情報

2017年度シラバス

大学経営政策各論(1)

 

授業の目標・概要 
(科学技術イノベーション論:伊地知担当)
研究やイノベーションのシステム,その推進を図る科学技術イノベーション政策等の概要について知るとともに,そのもとでの大学における研究・教育活動,研究成果と育成された人材の活用,学界や社会・経済における価値創出・効果・影響,それらと大学,高等教育部門,学界等における政策や経営との関連の概要について理解することを目標とする.

(研究倫理:札野担当)

大学などの組織において、研究公正を推進するために必要な体制について、具体的な事例を通して検討する。特に、平成26年に公表された、文部科学省「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」が持つ意味とそれが求める体制整備について理解した上で、大学経営を担うものの立場から為すべきことを議論する。学習・教育目標は以下のとおりである。

1)具体的な事例の検討を通して、公正研究に関する歴史、基本概念(責任ある研究活動 <Responsible Conduct of Research>、疑わしい研究活動 <Questionable Research Practice>、研究不正 <Research Misconduct>など)、行動規範などを理解する。2)同様に、事例の検討を通して、研究不正が発生する要因や構造的背景について分析できる。3)研究公正推進を目的とする体制(研究倫理審査委員会を含む)について、国内外のベストプラクティスを参考に考案できる。4)教育・研究機関における、研究倫理プログラム(研究倫理教育を含む)のあり方を提案できる。

(研究評価:林担当)
1990年代以降、研究評価は多くの国で制度化され、大学政策や科学技術政策における重要な要素になってきた。本講義では、大学等で行う研究活動に対する評価について、歴史的背景と制度、評価理論の基礎、ビブリオメトリクスや経済・社会的効果測定などの方法論を説明する。これにより、研究評価が研究活動や大学政策・経営において担うべき意義を理解するとともに、評価の設計や方法選択を行うための基礎的能力を身につけることを目標とする。
授業のキーワード
(研究倫理)
研究公正、責任ある研究活動、疑わしい研究活動、研究不正、研究倫理審査委員会、科学者の行動規範、研究倫理プログラム
(研究評価)
研究評価、科学技術政策、書誌計量学
授業計画
(科学技術イノベーション論)
第1回 研究システム,イノベーション・システム
第2回 科学技術イノベーション政策,研究開発・
イノベーション統計
第3回 研究プログラム,研究機関,研究プロジェクト,
研究者;科学技術イノベーション人材育成
第4回 産学官連携,知識移転,イノベーション創出支援
 
(研究倫理)
第1回 研究公正とは何か
第2回 研究不正はなぜ起こるのか
第3回 研究公正を推進するための体制とは
第4回 研究倫理プログラムの構築
(研究評価)
第1回 評価論と研究評価の歴史・制度
第2回 大学研究評価の政策的背景・方法
第3回 ピアレビューとビブリオメトリクス
第4回 研究活動による経済・社会的効果
(修了試験)
授業の方法 

科学技術イノベーション論

主に講義による.

(研究倫理)

授業では、講義とグループディスカッションを行った後、全体での議論を行う。事前のReading assignmentsを課すこともある。また、事例の調査を課すこともある。

(研究評価)講義

成績評価方法 
(科学技術イノベーション論)試験(80%)と授業参加(20%)
(研究倫理)グループディスカッションへの貢献度、レスポンス・シート、レポートなどを総合的に評価する。
(研究評価)レポート
教科書
(科学技術イノベーション論)指定しない
(研究倫理)指定しない
(研究評価)授業にて資料を配付する。
参考書
(科学技術イノベーション論)

国立国会図書館調査及び立法考査局(編)2011『科学技術政策の国際的な動向[本編]』(小林信一「科学技術政策とは何か」,pp. 7–34/伊地知寛博「基本的枠組みと予算・租税」,pp. 135–168).国立国会図書館調査及び立法考査局(編)2012『国による研究開発の推進―大学・公的研究機関を中心に―』(小林信一「公的研究開発の現状と課題─本調査研究のねらい─」,pp. 5–19/伊地知寛博「科学技術政策におけるビジョン形成と課題同定─総論─」,pp. 21–35/下田隆二「研究活動を担う基盤としての大学・公的研究機関─総論─」,pp. 83–98/林隆之「国の研究活動における大学の役割」,pp. 99–111/小林信一「研究開発におけるファンディングと評価─総論─」, pp. 149–173).
これら以外に,科学技術イノベーションの状況を示す報告書や統計等については,授業の中において指示する.

(研究倫理)
黒木 登志夫、『研究不正 - 科学者の捏造、改竄、盗用』(中公新書)、2016年
日本学術振興会、『科学の健全な発展のために
-誠実な科学者の心得』、丸善、2015年
(研究評価)
藤垣裕子ほか(2003)『研究評価・科学論のための科学計量学入門』丸善株式会社.
文部科学省研究開発評価推進検討会(2013)『研究開発マネジメントにいかす評価~我が国の研究開発機関における研究開発評価活動の現状と課題~』

P. Shapira & S. Kuhlmann eds. (2003), Learning From Science And Technology Policy Evaluation: Experiences from the United States and Europe, Edward Elgar.

Callon M., P. Laredo & P. Mustar eds. (1997). The Strategic Management of Research and Technology, The evaluation of Programs,  Economica International.

A. N. Link & N. S. Vonortas eds.(2013), Handbook On The Theory And Practice Of Program Evaluation, Edward Elgar.

履修上の注意
(研究倫理)
所属組織における研究倫理に関連する状況(倫理綱領、行動規範、研究公正推進体制など)について情報を整理しておくこと。