授業科目 | 高等教育論 |
開講予定 | 夏学期 土曜3限 |
担当教員 | 小方 直幸 |
目的と進め方 | この授業は、大学とは何か、すなわち大学の理念をテーマに取り上げる。大学は現在、経営上も機能上も喫緊の課題に迫られているが、新たな大学像が自明となっているわけではない。また、歴史的に見て、現在の大学のみが大きな変容を迫られ対応してきたわけでもない。こうした状況下で、今後の大学のありようを考える方策は二つある。一つは、生成しつつある変容をひたすらに追いかけることから、変化の根本的方向性を見極めるもの、もう一つは、現状から一歩距離を置いて過去の大学の経験から、その意義や限界も含めて大学の方向性を再考しようとするものである。 このうち、どちらか一方のみが正しいというわけではなく、双方からの学びが必要であり、この授業は二つのうち後者に着目する。具体的には、大学とは何か、大学の理念とは何かについて諸外国で古典といわれるものを中心にいくつか取り上げ、学習する。なお、受講者には「授業前の予習と授業中の作業・意見交換への参加」を前提としており、いわゆる一方向的な講義型の授業ではないので、その点を了解した上で受講すること。また、授業の内容・進度は、受講生の状況を見ながら柔軟に変更することがあり得る。 なお、5/19は大学祭のため、6/2は高等教育学会開催のため休講。 |
日程と各回の内容 | 第1回(4/7) 導入1:「大学とは何か」に関するレポートの作成
第2回(4/14) 導入2:前週に書いた「大学とは何か(大学の理念)」の構造化
第3回(4/21) 欧米の大学制度・機能の基礎知識の習得① ○資料:ベン・デビッド(天城勲訳)『学問の府』サイマル出版会、1982年、3-195頁。
第4回(4/28) 欧米の大学制度・機能の基礎知識の習得② ○資料:同上
第5回(5/12) イギリスの大学論①:19世紀のイギリス大学の外観 ○資料:サンダーソン(安原義仁訳)『イギリスの大学改革 1809-1914』玉川大学出版部、2003年。
第6回(5/26) イギリスの大学論②:ニューマンの大学論 ○資料:ニューマン(田中秀人訳)『大学で何を学ぶか』大修館書店、1983年、3-126頁。
第7回(6/9) イギリスの大学論③:ニューマンの大学論 ○資料:同上
第8回(6/16) スペインの大学論:オルテガの大学論 ○資料:オルテガ(井上正訳)『大学の使命』玉川大学出版部、1996年、3-87頁。
第9回(6/23) ドイツの大学論1:ヤスパースの大学論 ○資料:ヤスパース(福井一光訳)『大学の理念』理想社、1999年、11-148頁。
第10回(6/30) ドイツの大学論2:ヤスパースの大学論 ○資料:同上
第11回(7/7) アメリカの大学論1:アメリカ大学の外観 ○資料:中山茂『アメリカの大学』リクルート出版、1988年(第10回までの進行状況に応じて変更の可能性あり)
第12回(7/14) アメリカの大学論2:フレクスナーの大学論 ○資料:フレクスナー(坂本辰朗・羽田積男・渡部かよ子・犬塚紀子訳)『大学論―アメリカ・イギリス・ドイツ』玉川大学出版部、2005年、61-221頁。
第13回(7/21) アメリカの大学論3:フレクスナーの大学論 ○資料:同上
第14回(7/28) アメリカの大学論4:ハッチンズの大学論 ○資料:ハッチンズ(田中久子訳)『偉大なる会話』岩波書店、1956年(第13回までの進行状況と受講者の関心に応じて変更の可能性あり)。
第15回(日程別途掲示) 成果:「大学とは何か」に関する最終レポートの作成 |