授業科目 | 比較大学論 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
開講予定 | A1A2 土曜5限 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
担当教員 | 福留 東土 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
授業の目的 | この授業では、大学を比較と歴史の視点から探究することにより、大学に関する複眼的かつ幅広い視野を獲得することを目標とする。主にアメリカの大学を対象に講義を行うが、アメリカの大学に関する知識を習得すること自体が目的ではなく、比較史的考察を通して、各人が「大学とは何か」に関する思考を深めることを重視する。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
授業の進め方 | 1. 授業の課題は以下の3つとする。 2. 事前課題:第5回以降の授業については、当日の授業に先立ち、事前講義を視聴してくること。視聴法は後ほど指定する。第2回、第3回については指定された論文を読んでくること。 3. 小レポート:第5回(10/17)から第12回(12/12)のいずれか3回、事前講義を聞いて考えたことや質問をその授業の週の木曜までにA4・2枚程度の小レポートにまとめ、メール添付で送付すること。コメント、質問は授業中に議論の素材として用いる場合がある。 4. 期末レポート:以下のどちらかで期末レポートを作成すること。 ①海外の個別大学をひとつ取り上げ、その歴史について論じる。テーマは自由(創設時の歴史、何らかの歴史的画期、通史など)。対象大学はアメリカに限らない。 ②特定のテーマを立てて、比較または歴史の観点からそのテーマについて論じる。 レポートの中間発表を、第5回~第12回の授業中に設ける(質疑応答含め一人30分程度)。レポートの対象大学・テーマと希望する発表日を10/7(水)までにメールで提出すること(形式自由)。対象大学・テーマについて調整を行うことがある。必要に応じて事前に相談すること。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
授業のスケジュールとテーマ | <授業スケジュールとテーマ>
<各回のテーマと内容> 第1回:9月12日 大学の比較・歴史研究 ・授業の趣旨・内容の説明 ・講師の経歴・研究紹介 ・大学の比較・歴史研究について ・大学院における研究について 第2回:9月19日 課題研究 ・比較研究への視野の醸成を目的に行う。 ・高等教育の具体的課題を取り上げて、「比較研究とは何か」について考察を深める。 ・課題として、学士課程教育、大学院教育、大学ガバナンスを取り上げる。 第3回:10月3日 アメリカの大学システム ・事前課題:アメリカの大学システムを特徴付けるものは何か? ・アメリカの大学システムの概要:大学を取り巻く支援・管理・規制の構造 ・大学システムの重層性と複雑性 事前課題 ・William G. Tierney, "Globalization, International Rankings, and the American Model: A Reassessment," Higher Education Forum Vol.6, (Hiroshima: Research Institute for Higher Education, Hiroshima University, 2009), 1-17. ・ ロバート・バーンバウム「ガバナンスとマネジメント―アメリカの経験と日本の高等教育への示唆」広島大学高等教育研究開発センター編『大学運営の構造改革―第31回(2003年度)研究員集会の記録―』高等教育研究叢書80、2003年、26-45頁。(Robert Birnbaum, "Governance and Management: U.S. Experiences and Implications for Japan's Higher Education.") ・・・両論文を事前に読み、内容を理解してくること。 10月7日(水) 期末レポートテーマ提出期限 メールで送付すること。各人のレポートで対象とする機関やテーマを授業で取り上げることがある。 第4回:10月10日 アメリカの多様な大学 ・アメリカ大学の機関類型―多様性 ・高等教育機関の管理運営の構造 事前課題 上記の通り、期末レポートのテーマを10/7までに送付すること。 第5回:10月17日 アメリカの植民地カレッジ ・アメリカ大学の起源となった中世・近世のヨーロッパの大学の発展の概要、およびヨーロッパで形成された大学概念について理解する。 ・アメリカはいかにしてヨーロッパの大学を新大陸に移入させたのか?またそれはどこまで可能であったのか? ・アメリカにとってのヨーロッパの知的・文化的遺産とは何か? 受講生による発表1 事前課題 ・Roger Geiger, "The Ten Generations of American Higher Education," Philip G. Altbach, Patricia G. Gumport & Robert O. Berdahl (Eds.), American Higher Education in the Twenty-first Century: Social, Political and Economic Challenges (Third Edition), (Baltimore: The Johns Hopkins University Press, 2011), 38-70 (Chapter2: Generation 1-2, pp.37-41). 第6回:10月24日 独立後の大学とダートマスカレッジ・ケース ・植民地カレッジの目的、管理形態、植民地政府との関係 ・大学を所有・管理するのは誰か? ・「公立」「私立」の概念形成 受講生による発表2 事前課題 l Roger Geiger, "The Ten Generations" Generation 3-4, pp.41-46. 第7回:10月31日 カレッジの教育―「イェール・レポート」と専門職教育 ・カレッジ時代を特徴付ける古典教育の特質 ・古典教育の意義を主張した「イェール・レポート」で何が論じられたのか? ・もうひとつのカレッジ教育の伝統としての専門職教育 受講生による発表3 事前課題 l Roger Geiger, "Ten Generations" Generation 5, pp.46-49. 第8回:11月7日 実務的教育と大学―国有地付与大学(ランドグラント・カレッジ)の成立と展開 l 農業・工業の発展による社会変化と大学教育への需要の変化 l 連邦政府・州政府による財政的支援と大学教育の関係 l ランドグラント・カレッジのタイポロジーと多様性 l 近代社会の成立と大学への実学の導入過程 受講生による発表4 事前課題 ・Roger Geiger, "Ten Generations" Generation 6, pp.49-52). 第9回:11月14日 研究大学の建設―学術研究と大学院教育 ・研究に基づく新たな大学像の現出―大学にとって研究・研究者養成とは何か? ・ドイツモデルの影響とジョンズホプキンズ大学 ・シカゴ大学の出現 ・既存大学へのインパクトとユニバーシティへの変容 受講生による発表5 事前課題 ・Roger Geiger, "Ten Generations" Generation 6, pp.49-52). 第10回:11月28日 拡大と多様化・競争・協調・標準化―19世紀末から20世紀前半の大学 ・大学の拡大と多様化・階層化の実態とその影響 ・大学教育の標準化への動き―中等教育との接続、アクレディテーションの出現、財団の影響力 ・競争と協調―協調の場としての大学団体とそれを通した差別化・階層化 受講生による発表6 事前課題 ・Roger Geiger, "Ten Generations" Generation 7, pp.52-55). 第11回:12月5日 20世紀の大学とリベラル・エデュケーション ・連邦政府による財政支援の強化と統制 ・大学教育機会の拡大と大衆化 ・学生運動と大学の民主化 ・戦争と大学教育 ・多文化主義・平等と大学 受講生による発表7 事前課題 ・Roger Geiger, "Ten Generations" Generation 8, pp.55-58). 第12回:12月12日 大衆化・民主化・統制―戦後の大学 ・連邦政府による財政支援の強化と統制 ・大学教育機会の拡大と大衆化 ・学生運動と大学の民主化 ・多文化主義・平等と大学 受講生による発表8 事前課題 ・Roger Geiger, "Ten Generations" Generation 9-10, pp.58-64). 2016年2月5日(金) 期末レポート提出 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
成績評価 | 期末レポート 50%(中間発表は成績評価の対象とはしない) 授業後の小レポート 30% 授業への貢献・報告 20% | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
参考文献 | ・Philip G. Altbach, Patricia G. Gumport & Robert O. Berdahl (Eds.), American Higher Education in the Twenty-first Century: Social, Political and Economic Challenges (Third Edition), (Baltimore: The Johns Hopkins University Press, 2011). ・潮木守一『アメリカの大学』講談社学術文庫、1993年。 ・中山茂『大学とアメリカ社会―日本人の視点から』朝日選書、1994年。 ・フレデリック・ルドルフ『アメリカ大学史』玉川大学出版部、2003年。 他、授業中に適宜提示する。 |