開講学期:2016年度・A1A2
開講時限:土曜4限
【授業概要】
この授業では、4名の講師により、Ⅰ:高等教育の経済分析、Ⅱ:高等教育の計量経済分析、Ⅲ:高等教育の収益率分析、Ⅳ:学歴の効果分析のそれぞれをテーマに講義を行います。
Ⅰ:担当(川口大司)
大学進学の意思決定から大卒労働者の供給を、企業行動から大卒労働者への需要をそれぞれ説明する。そのうえで労働市場の需給均衡を通じて大卒者と高卒者の賃金格差がどのように決定するかを説明し、その説明が日本のデータにどの程度適合するか検討する。講義形式。
Ⅱ:担当(田中隆一)
エビデンスに基づく教育政策に取って必要不可欠である計量経済学的手法による政策評価方法について概観し、高等教育に関連する実証分析を紹介する。講義形式を基本とするが、学生本人たちによる考察や発表の時間をとることも予定している。
Ⅲ:担当(島一則)
教育を人的資本への投資として捉え、その効率性を測る指標としての収益率に注目した研究蓄積について、海外・国内の研究動向を紹介する。そのうえで、収益率の計測における問題とそれらをどのように克服してきたのか、さらに今後の研究の方向性について検討する。講義形式を基本としつつ、ディスカッションも行う。
Ⅳ:担当(濱中淳子)
現代日本において、「学歴を獲得すること」が、その後のキャリア形成にどのような影響を及ぼしているのか。本授業では、先行研究の成果ならびに最近の実証分析結果を扱いながら、その理解を深めることを目的とする。議論したことから、ぜひ「望ましい教育のあり方」を考えてもらいたい。
【授業の方法】
講義およびディカッションによる。
【成績評価方法】
各領域それぞれについて4回のレポート課題を実施し、その合計点数に基づいて行う。
【各回の構成】
Ⅰ:担当(川口大司)
第1回(10/1)-労働市場における大卒者の供給と需要
第2回(10/8)-労働市場の均衡と大卒・高卒賃金格差
Ⅱ:担当(田中隆一)
第1回(10/15)-教育政策への計量経済学的アプローチ
第2回(10/22)-高等教育の計量経済分析例
Ⅲ:担当(島一則)
第1回(10/29)-人的資本論と収益率
第2回(11/5)-教育投資収益率の国内の研究動向
第3回(11/12)-教育投資収益率の海外の研究動向
(11/19休講)
第4回(11/26)-PIAACを用いた教育効果研究の新たな展開
Ⅳ:担当(濱中淳子)
第1回(12/3)-「学歴の効用研究」は何を明らかにしてきたか
第2回(12/10)-大卒という学歴を問い直す
第3回(12/17)-女子にとっての学歴
第4回(12/24)-専門学校への進学という選択肢・大学院への進学という選択肢
【教科書や参考書等】
Ⅰ:担当(川口大司)
Daiji Kawaguchi and Yuko Mori (2016)“Why has wage inequality evolved so differently between Japan and the US? The role of the supply of college-educated workers”Economics of Education Reviewの内容をわかりやすく説明します。
Ⅱ:担当(田中隆一)
教科書 田中隆一『計量経済学の第一歩』有斐閣
Ⅲ:担当(島一則)
特定の教科書は用いず、各回ごとに文献の紹介を行う。
Ⅳ:担当(濱中淳子)
授業中に指示する。