2016年度後期(A1A2) 比較大学論
担当教員:福留東土 開講時限:土曜5限 単位数:2単位 |
1 | 10/1 | 導入講義―比較・歴史研究の射程と方法(1) |
2 | 10/8 | ・比較・歴史研究の射程と方法(2) ・比較分析の事例研究 |
(10/15) | (ホームカミングデーのため休講) | |
3 | 10/22 | アメリカの大学システム |
(10/29) | (研究セミナー開催のため休講) | |
4 | 11/5 | アメリカの多様な大学 |
5 | 11/12 | ヨーロッパの大学と植民地カレッジ |
6 | 11/19 | 独立後の大学とダートマスカレッジ・ケース (※日程上は補講日だが通常授業を行う) |
7 | 11/26 | カレッジの教育―「イェール・レポート」の分析 |
8 | 12/3 | 実務的教育と大学―ランドグラント・カレッジの成立と展開 |
9 | 12/10 | 研究大学と大学院教育 |
10 | 12/17 | 大学のシステム化:拡大と多様化―19世紀末から20世紀前半の大学 |
11 | 12/24 | 比較大学研究の理論分析―組織-構造理論・発展段階論・モデル論・従属論 |
12 | 1/7 | 20世紀前半の大学とリベラル・エデュケーション |
(1/14) | (センター試験のため休講) | |
13 | 1/21 | 大衆化・民主化・統制―戦後の大学 |
1. 事前課題:当日の授業に先立ち、課題論文を読み、and/or事前講義を視聴してくること。授業の補足講義を行う場合はそれも含む。授業では、グループディスカッションなど討論形式を多く取り入れるので、必ず事前課題を行ってくること。事前講義と資料の配信にはYoutubeとDropboxを用いる。第2回、第3回については指定された論文を読んでくること。
2. 小レポート:第2回~第13回のいずれか2回、以下のどちらかの内容を、授業次週の木曜までにA4・2枚程度の小レポートにまとめ、メール添付で送付すること。レポートの内容は授業中に議論の素材として用いる場合がある。
① 事前講義を聞いて考えたことや疑問点
② 授業の内容(補足講義がある場合はその内容を含む)についてさらに論じたいことや授業での疑問点
3. 期末レポートと中間発表:以下のいずれかの方法により、期末レポートを作成すること。また、授業中にその内容に関する中間発表を行うこと。
① 海外の個別大学をひとつ取り上げ、その歴史について論じる。テーマは自由(創設時の歴史、何らかの歴史的画期、通史など)。対象大学はアメリカに限らない。
② 特定のテーマを立てて、比較または歴史の観点からそのテーマについて論じる。
③ 授業の流れと関連する主要大学の創設期の歴史について論じる。この場合、関連するテーマを扱う授業の際に発表を行うこと。候補となる大学は以下。
4. リフレクション・シート:授業では毎回リフレクション・シートを配布する。その日の授業を通して関心を持った点、疑問点、コメントなどを自由に書いて、授業の最後にTAまで提出すること。優れたコメント、重要な質問は次回授業で取り上げることがある。
- 授業の趣旨・内容の説明
- 大学「経営・政策」とは何か
- 比較研究とは?
- 大学院における研究について
- 大学の比較・歴史研究とは何か(続)
- 比較研究への視野の醸成を目的に事例研究を行う。
- 高等教育の具体的課題に関する論文を取り上げて、「比較研究とは何か」について考察を深める
- 福留東土「比較高等教育研究の回顧と展望」『大学論集』第46集、広島大学高等教育研究開発センター、2014年9月、139-169頁。
- 福留東土「専門教育の視点からみた学士課程教育の構築」『大学論集』第41集、広島大学高等教育研究開発センター、2010年3月、111-127頁。
- 福留東土「大学院教育と研究者養成-日米比較の視点から-」『名古屋高等教育研究』第12号、名古屋大学高等教育研究センター、2012年3月、237-256頁。
- アメリカの大学システムを特徴付けるものは何か?
- アメリカの大学システムの概要:大学を取り巻く支援・管理・規制の構造
- 大学システムの重層性と複雑性
- William G. Tierney, "Globalization, International Rankings, and the American Model: A Reassessment," Higher Education Forum Vol.6, (Hiroshima: Research Institute for Higher Education, Hiroshima University, 2009), 1-17.
- ロバート・バーンバウム「ガバナンスとマネジメント―アメリカの経験と日本の高等教育への示唆」広島大学高等教育研究開発センター編『大学運営の構造改革―第31回(2003年度)研究員集会の記録―』高等教育研究叢書80、2003年、26-45頁。(Robert Birnbaum, "Governance and Management: U.S. Experiences and Implications for Japan's Higher Education.")
10月29日:研究セミナー開催
11月3日(木) 中間発表・期末レポートテーマ提出期限
- アメリカ大学の機関類型―多様性
- 高等教育機関の管理運営の構造
- アメリカ大学の起源となった中世・近世のヨーロッパの大学の発展の概要、およびヨーロッパで形成された大学概念について理解する。
- アメリカはいかにしてヨーロッパの大学を新大陸に移入させたのか?またそれはどこまで可能であったのか?
- アメリカにとってのヨーロッパの知的・文化的遺産とは何か?
- ロジャー・ガイガー「アメリカ高等教育史」Generation 1-2
- 植民地カレッジの目的、管理形態、植民地政府との関係
- 大学を所有・管理するのは誰か?
- 「公立」「私立」の概念形成
- 福留東土「公立/私立の区分の成立―ダートマスカレッジ・ケース」(講義資料)
- ロジャー・ガイガー「アメリカ高等教育史」Generation 3-4
- カレッジ時代を特徴付ける古典教育の特質
- 古典教育の意義を主張した「イェール・レポート」で何が論じられたのか?
- 立川明訳 (2001・2004). 「イェイル・レポート」第一部・第二部、国際基督教大学教育研究所。
- ロジャー・ガイガー「アメリカ高等教育史」Generation 5
- 農業・工業の発展による社会変化と大学教育への需要の変化
- 連邦政府・州政府による財政的支援と大学教育の関係
- ランドグラント・カレッジのタイポロジーと多様性
- 近代社会の成立と大学への実学の導入過程
- lロジャー・ガイガー「アメリカ高等教育史」Generation 6
- 研究に基づく新たな大学像の現出―大学にとって研究・研究者養成とは何か?
- ドイツモデルの影響とジョンズ・ホプキンズ大学
- シカゴ大学の出現
- 既存大学へのインパクトとユニバーシティへの変容
- ロジャー・ガイガー「アメリカ高等教育史」Generation 6
- 大学の拡大と多様化・階層化の実態とその影響
- 大学教育の標準化への動き―中等教育との接続、アクレディテーションの出現、財団の影響力
- 競争と協調―協調の場としての大学団体とそれを通した差別化・階層化
- ロジャー・ガイガー「アメリカ高等教育史」Generation 7
- 比較大学論の主要な理論を学ぶことによって、ここまで学んできたアメリカの歴史的発展と、この後で取り上げる現代的展開という実態とを相対化し、さらには国際的なレベルで見た際の日米の特質の同定を図る。
- 大学の国際比較を行う際にひとつの軸となる組織-構造理論について解説する。
- 各国の大学システムはいかなる要因やプロセスによって成立し、拡大・発展していくのか。大学の成立・発展について論じられてきた主要な諸理論を取り上げて検討する。
- 福留東土「文献解題:バートン・R・クラーク『高等教育システム』」(講義資料)。
- 福留東土「大学の発展に関する理論―段階論・モデル論・従属論―」(講義資料)。
- 一般教育運動とリベラル・エデュケーションの展開
- 自由選択制度と分散-集中型カリキュラム、一般教育
- 多文化主義と古典的大学教育
- ロジャー・ガイガー「アメリカ高等教育史」Generation 8
- 連邦政府による財政支援の強化と統制
- 大学教育機会の拡大と大衆化
- 学生運動と大学の民主化
- 多文化主義・平等と大学
- ロジャー・ガイガー「アメリカ高等教育史」Generation 9-10
期末レポート(中間発表は評価対象としない) | 50% |
小レポート | 30% |
事前課題を含めた授業への貢献、リフレクション・シート | 20% |