担当:福留 東土
集中講義の概要
開講日:2017年7月24日(月)~28日(金)
訪問先:アメリカ合衆国ペンシルバニア州立大学ユニバーシティパーク・キャンパス(Pennsylvania State University, University Park) http://www.psu.edu/
受入組織:高等教育研究センター(Center for the Study of Higher Education, CSHE)http://www.ed.psu.edu/educ/cshe
授業の趣旨
本授業は海外の大学を訪問する集中講義である。今年度はアメリカ合衆国のペンシルバニア州立大学(Penn State)を訪問する。同大学は、ランドグラント・カレッジ(国有地付与大学)のひとつであり、研究活動の最も盛んな約60大学のみが加盟するAAU(Association of American Universities)のメンバー校である。
本授業は、大学の比較研究に対する視野を醸成することを目的とする。現地で講義を受け、米国の大学人とディスカッションすることを通して、米国の研究大学の制度と実態を学ぶ。それを通して、大学に関する比較考察の視点を獲得し、日本の大学のあり方について考察する上での示唆を得る。
アメリカの大学は世界の大学改革のモデルと位置付けられているが、その実態は実は十分に理解されていない。まずは予断を入れずにアメリカの大学の実態を理解しようとすることが重要である。すべての受講生が関心あるテーマを見出せるよう、幅広いテーマで講師を依頼しているので、各自の関心のあるテーマや研究テーマに関する理解を深める機会としてもらいたい。
また、受講生各自の関心に即して事前調査やレポート執筆を行うことを通して、比較の視点から日本の大学像を相対化し、大学に対する幅広い知見を獲得することを目指す。
講義テーマ(予定)
1. ペンステートとランドグラント・カレッジの歴史
2. ガバナンスとマネジメント
3. 財政
4. IR(インスティテューショナル・リサーチ)
5. 学士課程教育とリベラルアーツ教育
6. アカデミック・アドバイジング
7. オンライン教育
8. 研究戦略と研究支援
+受講生の希望を聴取してテーマを追加する
・上記以外にこれまでの集中講義で扱ったテーマ
アドミッション、サービスラーニング、国際化、大学同窓会、教員人事と管理者育成、戦略的計画と教学質保証、学長の位置づけと役割、共同統治、学習成果アセスメント、学士課程学生による研究活動とその支援
受講生に求めること
・原則としてすべての事前学習会、講義に参加すること。
・事前に期末レポートの執筆テーマを決め、事前学習会での発表と期末レポートの提出を期日を守って行うこと。
・十分な準備を行った上で講義に臨み、現地のセッションでは講義を聴くだけでなく、積極的に質問・コメントをすること。
・集中講義が全受講生にとって有意義な経験となるよう、受講生間で情報交換を図り、十分に協力し合うこと。
・状況により、当コース修了生、東京大学職員が同行する可能性がある。相互に協力し合って、皆が有意義な経験をできるよう心掛けること。
現地訪問スケジュール
・航空便、ホテルは各自手配すること。
・以下はデフォルトとなる日程
7/22(土)日本出発、ステートカレッジ到着
※23日(日)出発でも集中講義には間に合うが、後述するJASSO奨学金の支給を希望する場合は原則7/22までに到着すること。
7/24(月)~28(金) 現地での講義
7/29(土)ステートカレッジ出発
※各自の状況により滞在を延ばすことも可。(JASSO奨学金の支給を希望する者で7/22に現地に到着できない場合、滞在を延ばすことで支給対象となりうるので相談すること。)
7/30(日)日本到着
空港と航空券
最寄りの空港:University Park Airport(SCE)「ステートカレッジ」
http://universityparkairport.com/
日本からの直行便はなし。ワシントンDC(ダレス)、シカゴ、デトロイト、フィラデルフィア、アトランタからフライトあり。
宿泊
キャンパス近くにある“Hyatt Place State College”を利用する。または“Days Inn Penn State”、 “The Penn Stater Hotel and Conference Center”も利用可。各自クレジットカードを使って事前予約を入れること。ただし、22日(土)は“Days Inn Penn State”が混み合っている様子。予約を入れられる場合は早めに抑えること(ただし、これら以外にも近隣にホテルはあるので、適宜相談すること。)
予約は各ホテルのHP、またはExpediaなどの予約システム、ないしは旅行会社を通して行うこと。 http://www.expedia.co.jp/
授業の全体計画
4月8日(土) 授業ガイダンス 授業計画の説明、質疑応答
4月25日(火) 受講者確定 履修予定者は福留まで連絡
期末レポートテーマ、関連書類提出(履修届提出後、事務室から履修登録者へフォーマットをメール送付)
予め、関心あるテーマについて考えておくこと。
5月13日(土)18:45~ 第1回事前検討会 履修者集合、打合せ
留学奨学金に関する説明、書類提出。
以降、各自ウェブを使った事前調査を各自進める。
6月19~23日 履修登録
6~7月 事前講義 DropboxおよびYoutubeを使って資料と講義を配信するので聞いておくこと。
7月1日or 8日
第2回事前検討会 事前講義、および期末レポートテーマについて打合せ(必要に応じてグループ検討会)
7月24~28日 集中講義
9月上旬 期末レポート提出
※事務上は6月に履修の追加登録が可能だが、原則として4/19-25の間に履修登録を行い、集中講義参加の可否を確定させること。職場の都合などにより、それまでに確定しない場合は講師に連絡の上、履修登録を行うこと。
期末レポートのテーマについて
原則として上記の講義テーマの中から、各自の研究関心に合わせてテーマ設定を行うこと。履修登録後、希望テーマについて聴取するので、できるだけ具体的に研究関心を記すこと。複数の受講生でテーマが重なる場合は、担当部分をブレークダウンして具体的に分担を行うなど調整を行う場合がある(必要に応じて個別に連絡する)。
また、講義テーマ以外のテーマでレポートを執筆することも可。その場合、滞在中、関係者へのインタビューや資料収集を行うことを勧める。また、それに関する必要なサポートを行う。
英語力について
本授業では特段高い英語運用能力は要求しない。各講師には、できるだけ基本的事項を中心に説明してもらうので、事前に準備を十分行い、一通りの理解を持った上で講義に臨むことが重要。講義中の通訳は原則として行わないが、必要に応じて日本語での補足説明を行う。また、必要な場合は受講生の質問を通訳する。不明な点は遠慮せずに講師に質問すること。
講義テーマと関連ウェブサイト
URLは原則としてペンステートウェブサイトのもの。関連するURL、資料は以下に掲げるものに限られるわけでない。必要に応じて後日資料の配布を行う。
以下は講義の順序を示すものではない。講義の日程は改めて通知する。
1. ペンステートとランドグラント・カレッジの歴史(History of Penn State and Land Grant Universities)
“Our History” http://www.psu.edu/this-is-penn-state/our-history
2. 大学のガバナンスとマネジメント(Governance and Management)
“Leadership and Mission” http://www.psu.edu/this-is-penn-state/leadership-and-mission
“Board of Trustees” https://trustees.psu.edu/index.html
“University Faculty Senate” http://www.psu.edu/ufs/
3. アメリカの大学財政(Financial Challenges for U.S. Higher Education)
“Facts about Budget & Finance”
http://www.budget.psu.edu/factbook/financedynamic/FinanceTableofContents.aspx
“Budget” http://budget.psu.edu/
4. IRの機能・構造・組織(Planning and Institutional Research—Its Roles, Structure and Organization)
“Planning and Institutional Assessment” http://www.psu.edu/president/pia/
5. 学士課程教育とリベラルアーツ教育(Undergraduate Education and Liberal Arts Learning)
“Office of Undergraduate Education” http://www.psu.edu/oue/
“College of the Liberal Arts” http://www.la.psu.edu/
6. アカデミック・アドバイジングによる学習支援(Academic Advising and Division of Undergraduate Studies)
“Academic Advising” http://dus.psu.edu/advisers/academic_advising.html
“Division of Undergraduate Studies” http://dus.psu.edu/index.html
NACADA http://www.nacada.ksu.edu/
7. オンライン教育とワールド・キャンパス(Online Education and World Campus)
“Penn State World Campus” http://www.worldcampus.psu.edu/
8. 研究戦略と研究支援(Research Strategy and Support)
“Vice President for Research” https://www.research.psu.edu/
受講生の役割分担・・・事前学習会の際に決定
・写真撮影
・講義録音
・懇親会
・点呼・連絡・LINE管理
・謝礼品運搬・渡し
・エクスカーション
参考情報
事前に以下に目を通しておくこと
・ 連邦教育省のIPEDSによる大学の基本情報
http://nces.ed.gov/collegenavigator/?q=penn+state&s=all&id=214777
・ 福留東土「アメリカの大学における理事会とガバナンス―ペンシルバニア州立大学の事例―」『KSU高等教育研究』第3号、2014、97-111頁。
海外留学支援制度(協定派遣)について
採択プログラム名「グローバル化時代を支える大学経営プロフェッショナル育成プログラム」
プログラムの概要
本プログラムは、東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策コースの専門科目「比較大学経営論」として開講される。本プログラムでは、大学院生を海外大学に派遣し、現地の経営幹部、教員、専門スタッフと交流することで、グローバル化時代に対応した先進的な大学経営システムの知識修得、及び英語力の向上を図っている。現代日本の大学は、グローバルな展開を図ることによってそのポテンシャルを高めることが可能となる。同時に、グローバル化と市場化の中で共通の課題を抱える世界の大学と交流することで、新時代に相応しい大学経営のアイディアを交換し、プロフェッショナルとしての意識を高めることが重要である。大学経営・政策コースは、近年、専門職化の要請が高まっている大学管理者層やミドルマネジメント、高度な能力を持った大学内専門職の養成を使命とし、修士・博士課程で約50名の人材を受け入れ、育成を行っている。「比較大学経営論」は、2005年度のコース開設時から10年以上に渡り、毎年開講されている特色ある科目である。平成29年度は、米国ペンシルバニア州立大学において、大学財務、グローバル化戦略、学生支援、研究戦略、オンライン教育をテーマにプログラムを実施する。受入先である高等教育研究センターは、全米有数の高等教育研究者が多数在籍する研究拠点である。同センターが当コースとの協定に基づく受入を行い、センター教員に加え、同大学の経営幹部、教職員の協力を広く得る。