担当: 両角 亜希子
授業の目的・ねらい
大学経営論では、大学の組織、経営行動について基本的な知識を習得するとともに、その現代的な課題について各自の問題意識を発展させることを目的とする。
教育力の向上や国際化などの大学改革を進めるためには、大学のガバナンスを変革することが必要だという議論が20年ほど続いている。学長のリーダーシップ強化(1995年中教審答申)、国立大学の法人化(2004年)、理事会の機能強化(2004年私学法改正)、教授会規定の改正(2014年学校教育法改正)等の政策も実行されているものの、期待されるような大学改革の成果に結び付かず、長年、同じような議論が繰り返されている。一連の改革で何が変わり、何が変わらないのか。なぜうまくいかないのか。全学的な大学改革を進めるために本当に必要なことは何か。こうした問いについて、それぞれの答えをみつけていきたい。
今年度は、講義を中心にしつつ、学生同士のグループワークや発表を取り入れつつ授業を進める。講義から学ぶだけでなく、本を読んだり調べたり、学生同士で学びあったりすることを重視するためである。講義形式の授業中の質問や問題提起なども歓迎であるし、こちらからあてて発言を求めることもあるので、ぜひとも積極的に参加してほしい。
講義日程と内容
以下の内容を予定しているが、受講生の関心等をふまえた微修正はありうる。
回 | 日にち | テーマ | |
1 | 4月8日 | ガイダンス、イントロ、発表の希望伺い | |
2 | 4月15日 | ガバナンス | (1)枠組み |
3 | 4月22日 | 特別講義 (予定) | 韓国中央大学 シン・ジュンボム教授 韓国の経営不良大学に対する政策動向 <発表グループの決定・コピー配布> |
4 | 4月29日 | ガバナンス | (2)国立大学 |
5 | 5月6日 | 〃 | (3)私立大学 |
6 | 5月13日 | 〃 | グループワーク |
7 | 6月3日 | 〃 | (4)アメリカ |
8 | 6月10日 | 大学組織論 | リーダーシップ・組織文化 |
9 | 6月17日 | 〃 | 組織編制原理 |
10 | 6月24日 | 大学経営 | IR、中長期計画 <7/8,15の「事例と事例に対する議論のための質問」を配布> |
11 | 7月1日 | 〃 | 大学経営人材と人事マネジメント |
12 | 7月8日 | 文献講読 | 学生発表+全体議論① |
13 | 7月15日 | 〃 | 学生発表+全体議論② |
5月13日のグループワークの進め方
最終レポートで取り上げる予定の特定の大学について、ガバナンスの概要とその優れた点や課題について、A4 2枚程度にまとめてくる(履修者全員に配布するので、当日に、各自、コピーを持参すること)。
グループ分けは当日に発表するが、各事例を順に発表したうえで、共通点や差異点を考えたり、課題について別の観点から考えてみたり、グループ内で議論を行う。
事例については、勤務先の大学などよく知っている事例で構わないし、日本以外の国の大学の事例を取り上げてもよい。もし大学等に勤務しておらず、取り上げるべき事例が思い浮かばない場合は、下記の媒体(それ以外にも検索すれば、事例紹介はたくさん出ている)で、大学の改革事例はたくさん紹介されている。こうした材料と、その大学のホームページ等から、わかる範囲で、ケースをまとめてもらい、優れた点や課題について、考察する。
雑誌類
リクルート『カレッジマネジメント』(WEBで閲覧可能)
進研アド『Between』(WEBで閲覧可能)
私学経営研究会『私学経営』
国立大学マネジメント研究会『大学マネジメント』
IDE大学協会『現代の高等教育』
書籍
篠田道夫2017『戦略経営111大学事例集』東信堂
※そのほか、大学関係者(学長や理事長)が自らの経験と大学改革を語った本は多くある。
7月8日、15日の学生発表の進め方
アメリカの大学組織論に関するテキスト(※)から、4章程度(履修人数によって決定)を選び、グループで1章ずつ担当し、その概要について、グループで協力してまとめて、発表する。「事例と事例に対する議論のための質問」があるので、それについては、7月1日の授業で全員に配布し、担当していない箇所についても、最低限、配布された資料については、読んできたうえで臨むこと。
「事例と事例に対する議論」については、授業の中でも全体で議論するし、各グループで、そのテーマに関する日本の事例の紹介などを含めて、それ以外の議論の論点を出してもらうのも大歓迎である。
(※)James L. Bess and Jay R. Dee 2008 “Understanding College and University Organization – Theories for Effective Policy and Practice” Stylus Publishing
成績評価
授業での発表・貢献度(6割)、レポート(4割)をおおよその目安に総合的に評価する。
毎回の授業でコメントシートを記入してもらう。授業の感想や要望を書いてもらい、次の授業で紹介する。これについては、基本的に成績評価に用いないが、良いコメントを書いて、授業に貢献してくれた場合、プラスの評価にのみ用いる。
最終レポート
<内容>
特定の大学(勤務先でもよい)を1校とりあげて、①あなたが考える問題点を指摘し、②ベンチマーク校との比較を通じて、③その解決策を論じてください。 ③を論じる際には、授業で扱った知識から、どのような観点を学んだのかについても必ず触れること。 |
<締切>
8月10日(木)
<分量>
とくに定めないが、ミニマム水準は、A4で5枚。
<提出先>
コース事務室にメールで、ファイルを送ること。
メールの件名に、「大学経営論 レポート提出」と明記し、ファイル名に自分の名前を入れること。
参考文献
毎回の講義の際に指示する。