集中講義の概要
開講日:2018年7月30日(月)~8月3日(金)
訪問先:アメリカ合衆国ペンシルバニア州立大学ユニバーシティパーク・キャンパス(Pennsylvania State University, University Park) http://www.psu.edu/
受入組織:教育学研究科教育政策学科および高等教育研究センター
https://ed.psu.edu/eps http://www.ed.psu.edu/educ/cshe
授業の趣旨
本科目は海外の訪問先大学で実施する集中講義である。今年度はアメリカ合衆国のペンシルバニア州立大学(Penn State)を訪問する。同大学は、ランドグラント・カレッジ(国有地付与大学)のひとつであり、アメリカの主要な州立研究大学のひとつである。
本授業は、大学の比較研究に対する視野を醸成することを目的とする。現地で講義を受け、米国の大学人とディスカッションすることを通して、米国の研究大学の制度と実態を学ぶ。それを通して、大学に関する比較考察の視点を獲得し、日本の大学のあり方について考察する上での示唆を得る。
アメリカの大学は世界の大学改革のモデルと位置付けられているが、その実態は実は十分に理解されていない。まずは予断を入れずにアメリカの大学の実態を理解しようとすることが重要である。また、受講生各自の関心に即して事前調査やレポート執筆を行うことを通して、比較の視点から日本の大学像を相対化し、大学に対する幅広い知見を獲得することを目指す。
今年度は集中講義の中心テーマを「アメリカの大学における学生支援」に設定する。アメリカの大学教育は、歴史的に「親代わり政策」を理念としており、学生支援の考え方や体制にも日本の大学とは大きな違いがみられる。「学生のための大学」という観点からみたときに、日本の大学の課題に対してアメリカの大学がもたらす示唆は少なくない。ただし、すべての受講生が関心あるテーマを見出せるよう、希望に応じてそれ以外のテーマでも講師を依頼する。各自の関心のあるテーマに関する理解を深める機会としてもらいたい。
現地での講義テーマ(予定)
1. Student Affairs
2. Financial Aid/ Admission
3. Academic Advising
4. Residence Life
5. Penn State Learning
6. Engagement Network
7. Diversity and Inclusion
8. History of Penn State (Alumni Association)
+受講生の希望を聴取してテーマを追加する・・・適宜相談すること。可能性として、下記にあるような形のテーマ設定で教職員に講義を依頼するか、CSHE・EPSの教員(高等教育研究者、比較教育学研究者、管理運営経験者)に講義を依頼することができる。
l 上記以外に過去の集中講義で扱ったテーマ
ランドグラント・カレッジの歴史、ガバナンスとマネジメント、学士課程教育、財政、アドミッション、エクステンション、サービスラーニング、IR、国際化、大学同窓会、研究戦略と研究支援、オンライン教育、教員人事と管理者育成、教員評議会と共同統治、オナーズカレッジ、カレッジスポーツ
事前講義のテーマ
過去に講義を依頼し、知見が蓄積されているテーマ、事前に理解しておいたほうがよいテーマについては、事前講義において扱う。Youtubeで配信するので渡航前に聞いておくこと。
l ペンステートの歴史と概要
l ガバナンスとマネジメントの基本構造
l 学士課程教育
受講生に求めること
l 原則としてすべての事前・事後学習会、講義に参加すること。
l 事前に期末レポートの執筆テーマを決め、事前学習会での発表と期末レポートの提出を期日を守って行うこと。
l 十分な準備を行った上で講義に臨み、現地のセッションでは講義を聴くだけでなく、積極的に質問・コメントをすること。
l 集中講義が全受講生にとって有意義な経験となるよう、受講生間で情報交換を図り、十分に協力し合うこと。
l 当コース修了生、東京大学職員が参加する可能性がある。相互に協力し合って、皆が有意義な経験をできるよう心掛けること。
現地訪問スケジュール
l 航空便、ホテルは各自手配すること。
l 以下はデフォルトとなる日程
7/28(土)日本出発、ステートカレッジ到着
※29日(日)出発でも集中講義には間に合うが、後述するJASSO奨学金の支給を希望する場合は原則7/28までに到着すること。
7/30(月)~8/3(金) 現地での講義
8/4(土)ステートカレッジ出発
8/5(日)日本到着
※各自の状況により滞在を延ばすことも可。(JASSO奨学金の支給を希望する者で7/28に現地に到着できない場合、滞在を延ばすことで支給対象となりうる。)
空港と航空券
最寄りの空港:University Park Airport(SCE)「ステートカレッジ」
http://universityparkairport.com/
日本からの直行便はなし。ワシントンDC(ダレス)、シカゴ、デトロイト、フィラデルフィア、アトランタからフライトあり。ダレス、シカゴ経由が便利。
宿泊
ホテルリスト(料金は1泊当り、税・サービス料別途)
ダウンタウン | Hyatt Place State College | ¥13,940 |
Days Inn Penn State | ¥12,976 | |
Atherton Hotel | ¥12,040 | |
キャンパス内 | Nittany Lion Inn | ¥17,569 |
キャンパス北側 | Comfort Suites State College | ¥11,059 |
Quality Inn Penn State | ¥9,698 | |
Sleep Inn State College | ¥8,120 | |
Rodeway Inn State College | ¥7,344 |
・各自クレジットカードを使って事前予約を入れること。
・予約は各ホテルのHP、またはExpediaなどの予約システム、ないしは旅行会社を通して行うこと。 http://www.expedia.co.jp/
授業の全体計画
4月7日(土) | 授業ガイダンス | 授業計画の説明、質疑応答 |
5月11日(金) | 受講者確定 | 履修予定者は福留・野村まで個別に連絡 ・期末レポートの予定テーマ(およそでよい、変更可)を添えること。現地で講義を依頼したいテーマがある場合はこの時までに伝えること。 ・各自ウェブを使った事前調査を開始。 ・この後、奨学金関連の連絡をするので対応すること。 |
6月18~22日 | 履修登録 | 忘れずに登録を行うこと。 |
6~7月 | 事前講義 | YoutubeとDropboxを使って資料と講義を配信するので聞いておくこと。 |
6~7月 | 事前学習会 | 日程は追って確定。顔合わせ、現地でのショートプレゼンの予行演習 |
7月30~8月3日 | 現地での集中講義 | |
9月上旬 | 期末レポート提出 | 締め切りは追って連絡 |
9~10月 | 事後学習会 解団式 |
※原則として5/11までに参加を確定させ、連絡すること。職場の都合などにより、それまでに確定しない場合はその旨連絡すること。
期末レポートのテーマについて
原則として上記の講義テーマの中から、各自の研究関心に合わせてテーマ設定を行うこと。履修登録後、希望テーマについて聴取するので、できるだけ具体的に研究関心を記すこと。複数の受講生でテーマが重なる場合は、担当部分をブレークダウンして具体的に分担を行うなど調整を行う場合がある(必要に応じて個別に連絡する)。
また、講義テーマ以外のテーマでレポートを執筆することも可。その場合、滞在中、関係者へのインタビューや資料収集を行うことを勧める。また、それに関する必要なサポートを行う。
英語力について
本授業では特段高い英語運用能力は要求しない。英語能力の巧拙によって成績評価を行うことはない。重要なのは相手の話を理解し、自分の言いたいことを伝えようとする姿勢であり、英語能力が参加の障害とならないよう必要なサポートを行う。各講師にはできるだけ基本事項を中心に説明してもらうので、事前に十分な準備を行い、主要な用語等について一通りの理解を持った上で講義に臨むことが重要。講義中の通訳は原則として行わないが、必要に応じて日本語での補足説明を行う。また、必要な場合は受講生の質問を通訳する。不明な点は遠慮せずに講師に質問すること。
関連する授業・セミナー
以下は必須ではないが、受講者はできる限り参加すること。
l 6月16日「大学経営政策各論(3)」(4コマ目) ペンステートのエクステンションに関する講義を行う。
l 6月26~28日(日時未定) ペンステートの教育政策学科教授David Post氏による公開研究セミナー
現地でのエクスカーション
l 講師陣、CSHE、EPS教授陣との会食
l 日本人教員との懇談
l キャンパスツアー
l マイナーリーグ野球観戦 State College Spikes
l 大学スポーツ博物館見学 All-Sports Museum
l 学内美術館見学 Palmer Museum of Arts
l Penn State Bookstore
l WingFest at Tussey Mountain
受講生の役割分担・・・事前学習会の際に決定
l 写真撮影
l 講義録音
l 会食
l 点呼・連絡・LINE管理
l 謝礼品運搬・渡し
l エクスカーション
参考情報
事前に以下に目を通しておくこと
・ 連邦教育省のIPEDSによる大学の基本情報
http://nces.ed.gov/collegenavigator/?q=penn+state&s=all&id=214777
・ 福留東土「アメリカの大学における理事会とガバナンス―ペンシルバニア州立大学の事例―」『KSU高等教育研究』第3号、2014、97-111頁。
その他
l パスポートを持っていない場合は早目に取得すること。
l 事前に必ず海外旅行保険に各自で加入し、保険の情報をコース事務室に連絡すること。クレジットカードに上乗せする保険でも可だが、すべての項目が補償されていることを確認すること。他の事前連絡事項についても履修登録後、コース事務室から連絡するので必ず提出すること。
海外留学支援制度(協定派遣)について
採択プログラム名「グローバル化時代を支える大学経営プロフェッショナル育成プログラム」
プログラムの概要
本プログラムは、東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策コースの専門科目「比較大学経営論」として開講される。本プログラムでは、大学院生を海外大学に派遣し、現地の経営幹部、教員、専門スタッフと交流することで、グローバル化時代に対応した先進的な大学経営システムの知識修得、及び英語力の向上を図っている。現代日本の大学は、グローバルな展開を図ることによってそのポテンシャルを高めることが可能となる。同時に、グローバル化と市場化の中で共通の課題を抱える世界の大学と交流することで、新時代に相応しい大学経営のアイディアを交換し、プロフェッショナルとしての意識を高めることが重要である。大学経営・政策コースは、近年、専門職化の要請が高まっている大学管理者層やミドルマネジメント、高度な能力を持った大学内専門職の養成を使命とし、修士・博士課程で約50名の人材を受け入れ、育成を行っている。「比較大学経営論」は、2005年度のコース開設時から10年以上に渡り、毎年開講されている特色ある科目である。平成29年度は、米国ペンシルバニア州立大学において、大学財務、グローバル化戦略、学生支援、研究戦略、オンライン教育をテーマにプログラムを実施する。受入先である高等教育研究センターは、全米有数の高等教育研究者が多数在籍する研究拠点である。同センターが当コースとの協定に基づく受入を行い、センター教員に加え、同大学の経営幹部、教職員の協力を広く得る。