2020年Sターム 授業予定
土曜3・4限 13:00-14:45 14:55-16:40
ZOOMの場所は毎週変える。事前にGoogle Classroomで案内する(パスワード付き)
担当
講師:両角 亜希子
TA: 野村由美、胡雲潼
大学経営・政策コース事務室
授業の目的・ねらい
大学経営論では、大学の組織、経営行動について基本的な知識を理解し、習得するとともに、その現代的な課題について各自の問題意識を発展させることを目的としています。授業を通じて知識を単に得るというよりも、勤務校での業務等との関係を常に意識して、自大学との共通性はどこか、差異性がある場合はなぜなのかなどを考えるようにしてください。今年度は、事前に教材を読んできてもらうことで、講義形式は最小限にとどめ、受講者が事前学習をしたうえで、受講者同士が議論するスタイル(ケースディスカッション)を中心に進めます。積極的に準備し、議論に参加してください。
大学経営に関する一般的な知識を得ることだけが授業の目的でなく、実際の大学経営をどのように良くしていけるのかといった実践的な関心にこたえうるものを目指しています。大学経営は実践的な関心が強い分野です。これまでの研究で蓄積されてきた理論を学習し、それを実践の場面で応用することもあれば、研究の場面においても、実践を丁寧に読み解くことにより、理論を深く理解し、さらに発展させるなど、理論と実践を往還する視点を持つことがきわめて重要であり、また有効です。理論や一般的な法則が、実際の事例に必ずしも当てはまらないこともよくありますが、それを理解し、そのうえで、個別の大学でどのようにすればよいのかを考えることが実践上は重要になります。
理論と実践の両方を往還するために、経営学の分野では、ケースメソッド授業がひとつの方法論として用いられています。ケースメソッド教育に対する批判もありますが(擬体験に過ぎない等)、当コースの学生は大学の職員等として様々な実践にかかわっており、それらの知識を生かすことで、より高い教育効果をあげることが期待できます。
大学経営論には、組織のマネジメント、人事のマネジメント、財務のマネジメントなどの様々な内容が含まれますが、今期の授業では、最も基礎的な内容である、大学の組織論を中心に扱います。
講義日程と内容(案)
以下の内容を予定している。次回以降は、いわゆるケースメソッドの授業を行う。
回 | 日にち | 時限 | 内容 | 事前課題 |
1 | 4月11日 | 3限 | ガイダンス・イントロ・簡単な自己紹介 | なし |
2 | 〃 | 4限 | 放送大学教材(第5章・第6章・第7章)で自習 | なし |
3 | 4月18日 | 3限 | テキスト第2章「組織を構造的に理解する」 | あり |
4 | 〃 | 4限 | テキスト第3章「組織を人間関係から理解する」 | あり |
5 | 4月25日 | 3限 | テキスト第4章「組織を政治活動から理解する」 | あり |
6 | 〃 | 4限 | テキスト第5章「組織を文化の面から理解する」 | あり |
7 | 5月9日 | 3限 | テキスト第6章「組織と環境の関係を理解する」 | あり |
8 | 〃 | 4限 | テキスト第7章「組織における意思決定」 | あり |
9 | 5月16日 | 3限 | テキスト第8章「組織における動機づけとリーダーシップ」 | あり |
10 | 〃 | 4限 | テキスト第9章「組織におけるコンフリクト」 | あり |
11 | 5月23日 | 3限 | テキスト第10章「組織学習」 | あり |
12 | 〃 | 4限 | テキスト第11章「大学のガバナンス」 | あり |
13 | 5月30日 | 3限 | 予備日 | |
第13回は、最終課題の作成に充ててください。
5月2日は休講。毎週、2コマずつでハイペースの授業をするので、途中で休みを入れたが、適宜、事前課題や最終課題を進める期間として活用してもらいたい。
テキスト・参考文献
授業の中では、以下のテキストを用いる。
テキスト
中島英博2019『大学教職員のための大学組織論入門』ナカニシヤ出版
小方直幸編2020『大学マネジメント論(放送大学教材)』NHK出版(第5・6・7章)
ロバート・バーンバウム1992『大学経営とリーダーシップ』玉川大学出版部
大学経営、大学組織については、様々な媒体で読むことが可能です。書籍のほかに、下記の雑誌類も参考になりますので、定期的に読む習慣をつけるとよいと思います。
IDE大学協会『現代の高等教育』
リクルート『カレッジマネジメント』(WEBで閲覧可能)
進研アド『Between』(WEBで閲覧可能)
私学経営研究会『私学経営』
国立大学マネジメント研究会『大学マネジメント』
第3回以降の進め方
<事前学習:各自、授業までに>
l その日に行う章を読んだうえで、章の最後に掲載されている「ケーススタディ」を読み、「論点」に書かれている設問すべてに対する自分の回答を用意する。
l 授業の前日(金曜日)の朝10時までに、google classroomを通じて、教員とTAのお二人に課題(論点についてまとめた内容、氏名をお忘れなく)を提出する。1日に2コマの授業があるが、ファイルは、章ごとに分けて作成すること。分量の定めは特にないが、1ケースで、A4 1枚程度(片面でも両面でも可)を想定している。課題は全員に共有しますので、それを前提に作成すること。
<授業:リアルタイム>
l 全員分の課題をTAが取りまとめたものを授業開始直前に全員に共有する。
l 40分程度のグループ討議をしたうえで、50-60分程度の全体での討議を行う。
<授業後>
l その日のケース教材や議論から学んだこと、考えたことをA4で1枚程度にまとめる(いわゆるリフレクションシートなので、気軽に書いてもらえればOKです)。それ以外に、その章の内容を読んで感じたこと、よくわからなかったこともあれば書く。授業の翌々日(月曜日)の朝10時までに、google classroomを通じて、教員とTAのお二人に提出する。
l 皆さんのリフレクションシートの内容の紹介や質問などへの回答をとりまとめて、参考動画を作成して皆さんに共有。適宜、皆さんに確認してもらう。
最終レポート
以下の2つの課題のうち、どちらか好きなほうを選んで提出してください。
締め切りは5月31日(日)で、Google Classroomで提出すること。分量は自由です。
課題①
『大学経営とリーダーシップ』(ロバート・バーンバウム、1992、玉川大学出版部)を読み、あなたの所属する大学あるいは関心のある大学の改革の議論について、バーンバウムの様々な大学組織モデルをあてはめて解釈してください。
課題②
2017年のAタームの大学経営・政策各論(2)の授業で、4名の学長・学長経験者の先生に講演してもらいました。大学経営・政策コースの授業の中に限り、活用することを認めてもらっていますので、この中のどれか(ひとつでもすべてでもOK)の動画を見て、学長リーダーシップについて考えたことを書いてください。
動画の共有方法については、追って、ご連絡しますが、ダウンロードは不可、取扱注意でお願いします。
<どちらの課題を選ぶか、悩んだ方へ>
本授業で中心的に用いる中島先生のテキストの下敷きになっているのはBess&Dee2008でこれも非常に良いテキストですが(以前、大学経営論の授業でも用いたことがあります)、バーンバウムの本も大学組織を理解するうえで、素晴らしいテキストなので、もしまだ読んでいないなら、この機会に読んでもよいかと思い、課題①を考えました。
今年の授業でもゲスト講師の先生に講演をお願い、現場の声を聴いて議論する機会を設けられればと考えていましたが、新型コロナで難しくなってしまいましたので、それを補うために、課題②を考えました。とくに大学での勤務経験がない方は、こちらの課題を選んで、学長がどのように考えて、どのように改革・運営しようとしているのかを知るきっかけにするとよいかもしれません。
Bess, J.L. and Dee, J.R. (2008) Understanding college and university organization: Theories for effective policy and practice. Sterling. VA: Stylus.
ケースディスカッションの進め方
・初回の授業の中でも説明しますが、よく読んでから、履修するようにしてください。
・進め方は、①事前にケース教材を読み、②ディスカッション設問に対する各自の考えをA4 1枚程度にまとめてくる、③授業ではまずグループ別に分かれて、予習の成果を持ち合い、ディスカッション設問に対する意見交換を行い、④そのあとクラス全体の議論を行う流れで進めます。
・グループ討議では司会、筆記を決めて議論を行うこと。ただし、グループ討議での議論を全体で共有する必要はないので、筆記のメモはあくまでも自分たちの議論のために行えばよいです。
・全体討議は、担当講師がディスカッションリーダーを務めますが、発言する場合は、挙手して、あてられたら発言するようにしてください。手を挙げていても気が付かない場合は、チャット機能や身振り手振りで教えてください。
・ケースメソッド授業は何かを「教わる」ものではありません。講師は自説を述べることや、講義をしません。クラスの議論にきっかけを与え、議論の進行のかじ取り役です。
・なお、グループワーク、ケースディスカッションのグループは毎回、ランダムに決めます。様々関心・背景を持つ他の受講生との議論を楽しみ、学んでもらえればと思います。ケースメソッドを用いた授業は昨年から取り組んでいますが、大学での勤務経験のない方でも、ケース教材を読むことから、議論に参加しやすいメリットもあると感じています。今回扱うのはいずれも、かなり短いケースなので、ケースに書いていないことも含めて、想像力を巡らせて、自分だったらどうするだろうか、自分の職場だったら、と考えてみてください。
成績評価
・課題をすべて提出した場合は、70点(良以上)は保証します。(やむを得ず欠席される場合は、担当講師までメールでお送りください。)
・それ以上の成績を付けるかどうかについては、提出物や発表内容の質、授業中の発言での貢献、コメントシートなどを総合的に考慮したうえで決定します。
・毎回の授業後にリフレクションシートを提出してください。授業の感想や要望・質問などを自由に書いてもらい、次の授業までに紹介・解説する等のフィードバックを行うのでご協力ください。これについては、マイナスの成績評価に用いませんので率直なご意見をお書きください。良いコメントを書いて、授業に貢献してくれた場合、プラスの評価にのみ用います。
履修上の注意
・履修者自身による予習・復習などの課題はそれなりに多いです。十分な準備をすることで、学習効果が高まるので、それをよく理解し、準備したうえで、積極的に授業に参加してください。
・グループでの議論、ケースディスカッションなど、討議を通じた学びが本授業の中心になります。よりよい学習の場を作るのは、教員だけでなく、受講者自身です。そのため、以下の約束を守ってください。受講者全員が約束を守ることで、信頼関係が構築され、安心して発言がしやすい環境が作られます。そして、それが高質で満足度の高い議論につながることを理解してほしいと思います。
① 自分の考えを大勢の人に向けて発するには勇気がいりますが、ぜひ勇気をもって発言してください。また、建設的な反論も真の学習に欠かせないので、対立意見をいうのも避けないでください。
② 履修者同士が互いに協力し、他のメンバーに対して、礼儀や敬愛の精神で接してください。それがあれば、たいていは「話してよかった」という結果になります。
③ 自分の立場や考え方とは異なるものも受け入れる姿勢・態度(寛容の精神)を持って、議論してください。
④ 授業の中では、勤務先大学について話したりすることが多くなりますが、この場で得た情報を他で漏らさないようにお願いします。
⑤ 議論する内容によっては、語りたくないこともあるかもしれませんが、その場合は無理に発言しなくても構いません。
以上