担当教員:福留東土(大学経営・政策コース)
教室:オンラインZoom
1.授業の概要
本授業は本来、海外の大学を一週間訪問し、現地で講義を受講する集中講義である。本年度は米国の大学を訪問する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の拡大により、2021年10月時点で海外渡航の見通しが立たないため、今年度はオンラインで現地とつないだ講義を行うこととする。
これに伴い、当初予定していた1月下旬から授業の開講日程を変更し、A2期間(12月~1月)にわたり、不定期に開講する。
授業はオンライン開講となるが、現地とは時差があるため、ライブ型とオンデマンド型を併用する。
講義日程:2020年12月~1月(不定期開講) 授業日時は決まり次第連絡する
オンラインでの講義依頼先:アメリカ合衆国ペンシルバニア州立大学ユニバーシティパーク・キャンパス(Pennsylvania State University, University Park)
※ 開講時期は上記の通りとするが、今年度修了予定者用に、1月上旬までに行う講義をオンデマンドで聴講できるよう配慮する。
※ この授業では、大学経営・政策コース修了生の聴講を認める。
2.授業の趣旨
本授業は、大学の比較研究に対する視野を醸成することを目的とする。今年度は現地訪問はできないが、現地とつないだ講義を受け、米国の大学人とディスカッションすることを通して、米国の研究大学の制度と実態について学ぶ。それを通して、大学に関する比較考察の視点を獲得し、日本の大学のあり方について考察する上での示唆を得る。
アメリカの大学は世界の大学改革のモデルと位置付けられているが、その実態は日本において十分に理解されていない。文化や制度的伝統の異なる海外の実態を、その背後にある文脈を含めて理解することは簡単な作業ではない。この授業では、まず予断を入れずにアメリカの大学の実態を理解しようとすることが重要である。その上で、受講生各自の関心に即して事前調査やレポート執筆を行うことを通して、比較の視点から日本の大学像を相対化し、大学に対する幅広い見識を獲得することを目指す。
今年度は、大学ガバナンスと学士課程教育に関わるテーマを幅広く取り上げる。それを通して、アメリカの大学経営・教育の概要を把握してもらいたい。また、すべての受講生が関心あるテーマを見出せるよう、希望に応じてそれ以外のテーマを取り上げることも可能である。各自の関心あるテーマに関する理解を深める機会としてもらいたい。
なお、福留による他の授業と関連する内容もあるが、他授業の履修を前提とはしない。必要に応じて、他授業の資料を共有する。
3.講義テーマ(予定)
以下のようなテーマで現地の教職員に講義を依頼する予定である。これ以外のテーマを希望する場合は11月10日を目途として福留まで連絡すること。
1. ペンステート理事会による大学ガバナンス
2. ペンステートの歴史:ランドグラント・カレッジとしての成立と発展
3. 学士課程教育のマネジメント
4. 学生の経済的支援
5. アドミッション
6. 学生寮
7. 大学生の学習支援
8. 多様性と包摂性
4.授業の進め方
・ 12月上旬に福留による初回講義を行う。日程が確定したら掲示板およびメールで連絡する。
・ 履修登録はガイダンスを聞いた上で10月に行ってもよいし、12月に履修登録することも可能。
① 現地講師の講義:原則としてライブ型講義により行う。1時間~1時間半程度
② 適宜、福留による事前講義・補足講義、および受講生間のディスカッション・セッションを、オンデマンドやライブで行う。
5.成績評価
期末レポート |
80% |
授業への参加・貢献、コメントシート |
20% |
・ 成績評価は授業参加と期末レポートによって行う。
・ 期末レポートは原則として講義テーマの中から各自の興味関心に合わせてテーマ設定を行うこと。
・ レポートはタイトルを付し、A4・5枚程度を目安とする。
・ 期末レポートの提出期限は2月上旬(詳細は後日連絡する)。
6.受講生に求めること
・原則としてすべての講義とディスカッション・セッションに出席すること。
・期末レポートの提出を期日を守って行うこと。
・講義を理解するだけでなく、積極的に質問・コメントをすること。
・本授業には当コース修了生が参加する。相互に協力し合って、皆が有意義な経験をできるよう心掛けること。
7.参考資料
事前に以下に目を通しておくこと。アメリカの大学はウェブサイトを通じて大量の情報発信をしているので、ウェブサイトによく目を通しておくとよい。
・ 連邦教育省のIPEDSによる大学の基本情報
https://nces.ed.gov/collegenavigator/?q=penn+state&s=all&pg=2&id=495767
・ ペンステート公式ウェブサイト
・ ガバナンス、リーダーシップ
https://www.psu.edu/this-is-penn-state/leadership/
・ 学士課程教育
・ 学生支援
https://studentaffairs.psu.edu/
・ 多様性と包摂性
https://www.psu.edu/this-is-penn-state/equity-and-inclusion/
・ 福留東土「アメリカの大学における理事会とガバナンス―ペンシルバニア州立大学の事例―」『KSU高等教育研究』第3号、2014、97-111頁。
・ 福留東土(2018)「学士課程における専攻選択プロセスの日米比較」『大学経営政策研究』(8)、19-36頁。(前期の各論でも使用した論文)
http://ump.p.u-tokyo.ac.jp/resource/03-%E8%AB%96%E6%96%87_%E7%A6%8F%E7%95%99.pdf
・ その他、参考資料をClassroomにアップする。授業理解やレポート作成の参考とすること。
9.その他
本授業では現地講師による講義は英語で行う。特段高い英語運用能力は要求しない。英語能力の巧拙によって成績評価を行うことはない。重要なのは相手の話を理解し、自分の言いたいことを伝えようとする姿勢であり、英語能力が履修の障害とならないよう必要なサポートを行う。現地講師にはできるだけ基本事項を中心に説明してもらうので、必要に応じて事前にウェブサイトを参照するなど、準備を行い、主要な用語等について一通りの理解を持った上で講義に臨むと理解しやすい。講義の通訳は行わないが、必要に応じてディスカッション・セッションで日本語での説明を行う。また、必要な場合は受講生の質問を通訳する。不明な点は遠慮せずに講師に質問すること。
10.来年度の開講予定について
・ 来年度は7月から8月に掛けて開講予定だが、コロナの終息状況による。今年度まで取得していた日本学生支援機構の留学奨学金の継続を申請中である。
採択プログラム名「グローバル化時代を支える大学経営プロフェッショナル育成プログラム」
<プログラムの概要>
本プログラムは、東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策コースの専門科目「比較大学経営論」として開講される。本プログラムでは、大学院生を海外大学に派遣し、現地の経営幹部、教員、専門スタッフと交流することで、グローバル化時代に対応した先進的な大学経営システムの知識修得、及び英語力の向上を図っている。現代日本の大学は、グローバルな展開を図ることによってそのポテンシャルを高めることが可能となる。同時に、グローバル化と市場化の中で共通の課題を抱える世界の大学と交流することで、新時代に相応しい大学経営のアイディアを交換し、プロフェッショナルとしての意識を高めることが重要である。大学経営・政策コースは、近年、専門職化の要請が高まっている大学管理者層やミドルマネジメント、高度な能力を持った大学内専門職の養成を使命とし、修士・博士課程で約50名の人材を受け入れ、育成を行っている。「比較大学経営論」は、2005年度のコース開設時から15年以上に渡り、毎年開講されている特色ある科目である。
以上