開講時限:土曜日・4限(14時55分~16時40分)
講義題目
科学技術イノベーション政策と研究マネジメント
担当講師
林隆之(大経コース・客員教授、政策研究大学院大学・教授)
齋藤芳子(大経コース・非常勤講師、名古屋大学高等教育研究センター・助教)
両角亜希子(大経コース・教授)
そのほか、ゲスト講師をお願いしています。
TA
鈴木拓人(大経コース・博士課程)、于縁(大経コース・修士課程)
授業形態
ハイフレックス形式で行います。対面(赤門総合研究棟A200教室)、オンライン(ZOOM)のいずれかの方法で参加できます。対面で参加される場合もノートパソコンとイヤホンをご持参ください。WifiはUTokyo wifiをご利用いただけますが、念のため、TAに毎回、コース所有のモバイルwifiを準備してもらう予定です。授業の資料はクラスルームで共有しますが、印刷・配布することはありませんので、紙媒体のものがお手元に欲しい場合は各自でお願いいたします。
1/20のポスター発表の回は対面参加でお願いします。
現時点での日程(一部、未確定)
この授業では、3名の教員が順番に講義を担当します。
内容と日程の案は以下の通り。
10/7 ガイダンス(両角) オンデマンド視聴
10/14、10/21、11/4、11/11 林
11/18、11/25(3限・4限) 齋藤
12/2、12/9、12/16、12/23、1/20(4限・5限) 両角
※10/28は研究イノベーション学会、1/6は講師の都合、1/13は共通テストのため授業を行いません。
※11/18の齋藤先生はオンラインで参加されます。
※4限以外の時間帯に授業をする日が2回ありますのでご注意ください。なお、3限は13:00~14:45、5限は16:50~18:35です。
それぞれの担当分で扱う内容は以下の通り。
(林担当分)
- 趣旨
科学技術・イノベーション政策は、科学技術や研究開発といった高度に専門的な活動を対象にしつつも、学術的価値のみならず社会・経済的価値が総体として実現されるように、国や組織レベルでのマネジメントを要求するものである。大学は政策の中で主たるアクターであり、科学技術・イノベーション政策が変化する中で大学に求められる機能も大きく変わる。本講義では、国内外の科学技術・イノベーション政策の歴史的変遷と現状、ならびにその理論フレームワークについて講義を行う。また、それらを基礎に、政策評価や研究評価を対象に政策の効果や科学技術・イノベーションの価値をどのように測るのかを説明する。
- 各回の内容
1.日本の科学技術・イノベーション政策
2.諸外国の科学技術・イノベーション政策
3.科学技術・イノベーション政策の理論フレームワーク
4.科学技術・イノベーション政策における政策評価・研究評価
- 教科書
参考とすべき論文等については授業で説明する。
(齋藤担当分)
- ねらい
科学技術に関わる人材について取り上げます。
この4半世紀ほどを中心に、研究者像の変容や、それに伴う人材育成のあり方の改革、そして、研究活動を支える人材の登場など、科学技術関連人材には大きな変化がありました。
これらを確認しながら、現代における科学技術研究を担う人々と、その人々を通じてなされる科学技術活動への理解を深めていきます。
- 各回の内容
博士のキャリアパス:OD・PD問題を脱却して
研究支援人材の登場:URAを中心に
現代の研究者像:市民との関係のなかで
- 教科書等
・教科書等の指定はありません。適宜資料を配付します。
・事前のリーディングが課されることがあります。予習して授業に臨んでください。
(両角担当分)
- ねらい
科学技術・イノベーション政策、科学技術にかかわる人材についての知識を得たうえで、各大学における研究マネジメントの課題について考えます。大学教員にとっての研究活動の特徴や意義などについても解説したうえで、議論します。担当講師以外に、複数のゲスト講師として登壇いただく予定です(一部、未確定)。
事前に下調べをしたうえで、ゲストの話を聞いて討議をして、それぞれの知識や問題意識をさらに発展できるように考えています。また、科学技術・イノベーション政策や大学の研究マネジメントは幅広い分野になりますので、各自の知りたいことを自ら研究して深めていただく機会にもしたいと思います。
- 現在、確定している内容
10/7(オンデマンドガイダンス)
提出課題 今回のテーマに関して、現時点で関心を持っていること、今回の授業に期待していることをA4で1枚程度にまとめて書いて提出して下さい。授業を受けていく中でその後に関心が変わっても構いません。締め切りは10/13(金)まで。
大学経営に関するテキストを当コースで出していますが、研究マネジメントに関して、以下の2つの論稿をクラスルームにアップしておきますので、初回の授業時までに(遅くとも10月中に)読んでおいてください。
クラスルームで紹介した動画も皆さんそれぞれの関心にあうものから、時間を見つけていくつかご覧になるとよいと思います。皆さんが共有に見てよかったと思った動画の講師を招いて、ディスカッションする機会を作ってもよいかもしれないと考えていますので、感想・希望があれば、最初の提出課題やリフレクションシート、あるいは直接メールをいただくなど、早めにお知らせください。
小林信一2018「研究のマネジメント」東京大学大学経営・政策コース編『大学経営・政策入門』東信堂
福井文威2020「研究のマネジメント」小方直幸編『大学のマネジメント』放送大学テキスト
12/9 OIST(沖縄科学技術大学院大学)から学ぶ大学の研究マネジメント
ゲスト講師(3名)から話題提供いただき、クラス全体で議論します。いずれの講師も東京大学等の日本の研究大学とOISTの両方をご経験されており、そこから感じていることを話題提供いただく予定です。
杉山(矢崎) 陽子 OIST・臨界期の神経メカニズム研究ユニット/東京大学 国際高等研究所 ニューロインテリジェンス国際研究機構
山野 真裕 OIST URA
小山田 彩 OIST URA
事前課題 「危機に直面する日本の国立大学-OISTの秘密に学ぶ(芝田政之)」を読み、OISTについての基礎的な知識を得ておくこと。それぞれの関心に応じて、大学のウェブサイトや大学の公式youtube(https://www.youtube.com/@oistedu)などもみておくことを勧めます。特に提出は求めません。
12/23 学際研究のマネジメント(仮)
ゲスト講師 福井文威(鎌倉女子大学・教授)
12/2あるいは12/16
どちらか1回は、ポスター発表(最終レポート)で考えている内容のメモを作ってもらい、班にわかれて議論をしてもらおうと思います。私も適宜、班を回ってコメントしていきます。
もう1回は、両角が講師を務める、あるいは皆さんの希望によっては、ゲスト講師による講演を追加してもよいかもしれないと考えています。皆さんの関心も聞いたうえで、できるだけ早めに確定させますので、今しばらくお待ちください。
→皆さんへの希望を聞いて、12/2は以下のように決定しました。
ゲスト講師:豊田 長康先生(鈴鹿医療科学大学学長)
講義タイトル:「日本の急激な研究競争力低下をもたらした原因は何か?そして、なぜ、20年間回復しなかったのか?」
1/20 4・5限 学生によるポスター発表会
4か月弱の間で、皆さん各自で、科学技術・イノベーション政策や大学の研究マネジメントについて、自分の知りたいテーマをひとつ定めて、調べてもらいます。興味のある大学の事例を調べてもよいですし、研究者等にインタビューをしてみてもよいですし、関連する研究(本や論文等)を読んでその内容をまとめてもよいです。最終回で、全員がポスター発表をしてもらいます。詳細は近くになったら案内します。この日の都合が悪い場合は、発表動画を作ってもらい、それをクラスルームで全員に共有することを代替措置として考えています。
- 教科書等
・教科書等の指定はありません。適宜資料を配付します。
・事前の課題やリーディングが課されることがあります。予習して授業に臨んでください。
日本語で読める本や論文はCiniiなどを用いて、各自で調べてみてもらえればよいですが、講演内容を録画したものを見るのも参考になると思います。クラスルームにいくつか案内しておきます。
研究のマネジメントに関しては少し古いですが、下記の書籍もあります。
Helen Connell, 2004, University Research Management-Meeting the institutional Challenge,OECD
Dean O. Smith,2011, Managing the Research University, Oxford University Press
Jamil Salmi2009、The Challenge of Establishing World-Class Universities
関心のある大学があれば、大学のウェブサイトをご覧いただくとよいと思います。海外の高等教育新聞などを見てもらうのも参考になると思います。それぞれの関心に応じて、どのようなものを参照したらよいか、また適宜、お知らせできればと思います。
- 授業の方法
主に講義形式で行いますが、質疑の時間やグループディスカッション等もできるだけ取り入れます。それぞれの担当講師の指示によく従ってください。
授業、講義部分については録画を行い、授業後に履修者がみることができるようにします。都合がつかずに欠席した場合にご覧いただけるほか、授業の復習にもお役立てください。質問や発言をするときに録画をされたくないということがもしありましたら、発言の前にTAにお知らせください。後から申し出があっても対応が難しいので、ご協力をお願いいたします。
- 成績評価方法
平常点と最終発表および最終レポートによって総合的に評価します。
平常点にはそれぞれの先生が出す事前課題、リフレクションシートの提出、授業の中での発言などが含まれます。都合で授業を欠席した場合も、録画可能な授業は録画をするので、それをみてリフレクションシートを提出してもらえれば不利になることはありません。リフレクションシートは毎回の授業で出してもらいます。
最終レポートは、ポスター発表で口頭発表した内容を文章化して提出してもらいます。分量の定めは特にありません。改めて言うまでもないことですが、レポートには必ず内容を的確に表すタイトルをつけて、学年・氏名を最初に明記するようにしてください。締め切りは、1月31日。
- 履修上の注意・お願い
授業日程をよく確認の上、毎回の講義に出席し、課題をすべて提出してください。リフレクションシートは毎回の授業で提出して下さい。その授業で感じたこと、考えたこと、興味を持ったことを言語化しておくこと、後から振り返れるようにしておくことは皆さんそれぞれの学びにとって有効だと考えます。締め切りは授業の翌日中(日曜日23:59まで)に設定します。週末のご予定やご体調によってはちょっと大変な時もあると思いますが、そういう時は多少遅れても受け取りますので、ご無理なさらず、ご相談ください。
この授業では授業の効果を高めるために、リフレクションシートや課題は基本的に、履修者全員で共有します。教員から学ぶだけでなく、学生同士がお互いに良い刺激をうけて、学び合うことを重視しているためです。ただし、内容によっては、他の履修者に共有されたくないこともあるかもしれません。共有されたくない場合は、ファイル名の最初に【共有不可】と明記してください。すべて共有不可というのは避けてください。共有してほしくない内容を別ファイルにわけて提出してもらっても構いません。ご心配な方は、個別にご相談ください。
この授業は、独学でもなく、一方的に講義を聞くだけでなく、この場に集まった皆さんと一緒に作り上げることのできる良い学びの共同体を作っていきたいです。大学院生だけでなく、科目等履修生もいらっしゃり、多様な関心と経験を持つ素晴らしいメンバーが集まってくれました。そのため、この授業でお互いの勤務先の大学のことなどについて議論をする機会も少なくないと思います。この授業でそうして知りえたことは他では話さない、SNS等でつぶやかない等のルールを守ってください。おそらく大丈夫だと思いつつも、私の思い込みで一方的に期待するのはよくないので、あえて書きました。全員がそれを理解し、このルールを守ることで、安心して、質の高い学びができますので、ご協力をお願いいたします。