A1A2 ターム 土曜日 3 限目(13:00~14:45)
担当:阿曽沼明裕
TA:田詩蘭
【授業の目的】
この授業では日本の高等教育政策・制度の構造と機能について理解を深めることを目的とする。
高等教育政策は大学・高等教育の問題に取り組む際に政策に関する知識は欠かせない。
だが、必ずしも高等教育政策研究者(政策評価研究、政策過程分析)になるわけではない。
高等教育政策に資するための研究(政策のための研究)の訓練の場でもない。
高等教育の問題に取り組む際に必要な、あるいは知っておくとよいと思われる、
政策の在り方、政策の構造や機能、メカニズムを理解するための枠組みや知識を得るための授業である。
この授業において高等教育制度・政策は、高等教育と社会とをつなぐ、つまり媒介するものあると捉える。
ただし、媒介機能は政府や制度・政策だけではなく、専門家集団や市場にもある。
こうした観点から高等教育制度・政策を捉える。
【授業の内容、進め方】
まず授業の前半では、高等教育政策を考える際に必要ないくつかの基本的な理屈(理論、現実を捉える枠組み)を学ぶ。
その後大雑把に日本の高等教育の流れを、戦前と戦後に渡って概観したうえで、
後半では、主要な高等教育政策について取り上げる。その際、政府の役割を、
①制度的枠組みの構築、②「規制」と「補助」を通じた量と質のコントロールと考え、
そのいくつかの政策事例を取り上げ、戦後日本の高等教育政策に対する理解を深める。
授業の前半では、主に講義を行い、後半は、毎回3〜4 種類の文献を取り上げ、3〜4 人が
ひとり20 分程度で文献の内容を報告し、疑問点や問題点を議論する。
なお、ディスカッション重視の授業もあるが(大経の授業にはそのタイプが多いのでそれは他に任せ)、
この授業はコースでの基本的な知識の習得を目指すものである(質問や発言は大歓迎)。
加えて、授業はあくまでも道案内にすぎず、受講生は、授業での話を聞くだけでなく、
授業で取り上げる教科書・文献を予習・復習で自ら読むこと。
授業はオンラインで行う。
【授業計画】
Ⅰ.教育と社会の理論
1.教育と社会・経済発展(10/4)
2.投資としての高等教育(10/11)
3.高等教育における市場(10/18)
4.政府の存在する根拠(10/25)
Ⅱ.日本の高等教育のマクロな流れ
5.戦前日本の高等教育制度・政策の概略(11/1)
6.戦後日本の高等教育制度・政策の概略(11/8)
Ⅲ.主要な高等教育政策
7.制度・枠組みの構築①―学制改革(11/15)
8.制度・枠組みの構築②―教育課程・質保証の枠組み作り(11/22)※授業休止日
9.制度・枠組みの構築③―ガバナンスの枠組み作り(11/29)
10.政府の規制と補助①―高等教育計画(12/6)
11.政府の規制と補助②―財政補助(12/13)
12.高等教育政策の構造変化①(12/20)
13.高等教育政策の構造変化➁(1/10)
(1/17、共通テスト)
※12 月13 日は休講で、1 月17 日か1 月24 日にやる可能性あり。
【評価】
授業における報告、最後の課題レポートまたは試験(試験といってもレポート的な論述式)による。
また、毎回(2時限に一回)リフレクション・ペーパーを提出。
【教科書・参考書】
金子元久・小林雅之『教育の政治経済学』放送大学教育振興会(2000)
橋本鉱市・阿曽沼明裕編『よくわかる高等教育論』ミネルヴァ書房(2021)
大崎仁『大学改革 1945〜1999』有斐閣選書(1999)
村澤昌崇『リーディングス日本の高等教育6 大学と国家―制度と政策』玉川大学出版部
(2010)
黒羽亮一『新版 戦後大学政策の展開』玉川大学出版部(2001)
このほか授業で取り上げる文献は別途そのつど提示する。
報告の参加状況、レポートあるいは試験(レポートに近い記述式)による。