修士課程・博士課程と大学経営・政策コースに在籍し、学位取得後の2015年4月からは、國學院大學に教員として勤務しています。本コースには現職の大学職員の方々が在籍することも多く、縁あって修了生と同じ職場となる機会を得ました。あらためて本コースとご指導いただいた先生に感謝する毎日です。
さて本コースの特徴はというと、「在籍する大学院生が多様であること、大学経営及び高等教育政策に関する多様なテーマを分析対象とすること、理論と実践、歴史と比較、量的と質的といった多様な方法から考察すること」といったことが挙げられるのではないでしょうか。加えて専門職大学院と異なり、修了要件に学術的な研究論文の執筆を必須としていることも特徴です。
私自身、この学術的な研究論文の執筆にはとても苦戦しました。社会人大学院生の方々は、時間の制約が厳しいですからなおさらだと思います。とくにご自身の経験を学術的な問いとして再構成し、それを適切な方法論で展開することに大変な苦労をされていたようでした。研究論文は現場の問題に対して即効性のある解を提供するものではありません。ですが理論と実践の有機的な連携に努められているコース教員以上に、社会人大学院生の方々はそこに大きな価値を見出していました。現場での教育実践に強い関心が向けられる昨今の高等教育にあって、東大はやはり研究重視かと揶揄されるかもしれません。ですが日々改革を強いられる中にあって、業務上の問題をある視座から相対化し、腰を据えてじっくり取り組むことこそが、長期的には最も重要なようです。その効用は、大学教員としてのキャリアをスタートした私も折にふれ痛感し始めています。
本コースは日々の講義で要求される課題も多く、研究活動には苦しさも伴うかと思います。ですがご心配は無用です。指導体制やカリキュラムは順序性と体系性を配慮して刷新され続けていますので、必ずや実りある成果を得られることかと思います。大学経営・政策に関して問題関心を持ち、主体的に行動できる方にとって、本コースが最適の場であることは間違いないです。一人でも多くの方が本コースへの入学にご関心を持たれ、学び、研究され、ゆくゆくは大学経営・政策に資する骨太なネットワークを形成されることを願ってやみません。(2016年4月)